部門

肥満症治療チーム

肥満は手術で治る可能性があります

世界では減量手術で健康を取り戻す患者さんが増えています。

古くから肥満は万病のもととされています。 高度な肥満患者さんの中には既存の治療方法では健康を取り戻せない方が多くみえました。 そのような患者さんへの新しい治療方法として、世界では減量手術が行われております。 米国では年間20万人以上に施行されており、日本の胃癌手術の件数の10倍以上となります。 しかしながら、日本では減量手術を受けることができる施設が全国でも限られていました。 そこで、小牧市民病院では地域の基幹病院として、患者さんがこの手術の選択もできるように取り組みを進めています。そして、肥満外科手術(減量手術)の保険適応施設に認定されています。

糖尿病や高血圧症などの生活習慣病や、膝関節症、睡眠時無呼吸症候群を治癒・軽減できる可能性があります。 内服薬やインスリン注射の負担や医療費を軽減できることが期待されます。

小牧市民病院で行われる肥満外科手術(腹腔鏡下スリーブ状胃切除術)の効果は以下のように報告されます。

およそ20%の減量効果が期待できます。それに伴い糖尿病や高血圧症、高脂血症、脂肪肝といった生活習慣病や、膝関節症や睡眠時無呼吸症候群の改善が見込まれます。さらに、内服薬やインスリン注射を中止できる可能性があります。
このことから、術後に医療費を大幅に削減できることが期待されます。
特に、インスリン注射を中止できた場合は8万円/年間程度の医療費の負担軽減が試算されます。

まずは糖尿病・内分泌内科にかかっていただき、手術までの準備をします。

まずは糖尿病・内分泌内科を受診していただきます。手術前に1kgでも多く減量することで手術のリスクを減らせます。そのため、内科で減量や血糖コントロールのための入院を行います。
手術前後で食事・運動療法のサポートを十分に行うことで減量の成功率が上がります。小牧市民病院では術前から外科医、内科医、精神科医、管理栄養士、臨床心理士、看護師、薬剤師、理学療法士などがチームを組んで患者さんをサポートしていきます。

治療効果が大きく、手術のリスクが少ない以下の条件を満たした、糖尿病や高血圧症、脂質異常症、睡眠時無呼吸症候群の患者さんが対象となります。

□ 年齢  25歳から60歳
□ BMI  32.5-45
     以下はおおよその目安です
     140cm:64- 88kg、 150cm:73-101kg、 160cm:83-115kg    
     170cm:93-130kg、 180cm:105-145kg
□ 手術や麻酔が危険でない (重症の内臓疾患などがない)
□ 不安定な精神疾患がない
チームで手術のメリットやリスクについて包括的に検討をさせて頂きます。

安全性には十分に配慮をしています。

院内の倫理審査委員会に承認された実施要領に基づき行われます。
手術は日本内視鏡外科学会技術認定取得者により実施されます。
術前後の患者さんの精神的な不安や負担を軽減できるようチームでサポートをしていきます。

減量手術のご相談・ご予約について  

当院の糖尿病・内分泌内科でくわしくご説明させていただきます。
かかりつけ医にご相談のうえ、受診予約をお取りください。
◇かかりつけ医をお持ちでない方でも地域連携室(0568-76-1434)で予約をお取りすることは可能です。
その場合は診察料の他に選定療養費(5,400円)が必要となります。

肥満症治療チーム 委員名簿 (2020/4/1現在)

医務局

外科望月 能成 (委員長)
糖尿病内分泌内科落合 啓史
同上吉田 武之輔
総合内科森 雅也
精神科佐部利 了

看護局

7W病棟 師長柴田 多鶴子
研修センター師長吉野 智恵
8W病棟 師長牛田 知代子
外来師長舌 康子
内科外来杉本 かおる
同上南条 千恵
同上古檜山 梶世
外科今井 智恵

薬局

薬剤師水谷 貴樹
同上福岡 麻実
同上奥村 允基
同上岡村 奈保

検査部

検査技師鈴木 康浩
同上加藤 美穂
同上小川 有里子
同上前田 佳成

栄養科

管理栄養士小塚 明弘
同上小松 恵
同上澤 つかさ
同上大平 圭祐
同上神谷 成美
同上小椋 朱根
同上大越 智美
同上野村 早

リハビリテーション科

理学療法士竹ノ内 良輔

メンタルヘルス

臨床心理士大脇 貴美子

引用文献

日本肥満症治療学会 外科症例 全国登録
Ann Gastroenterol Surg. 2019;3:638-647

手術について

減量手術について

表1.術式別治療効果比較(※)

(※)日本肥満症治療学会 外科症例全国登録より
(※)日本肥満症治療学会 外科症例全国登録より

本邦でこれまで行われてきた主な減量手術は表1に示す調節性胃バンティング術、胃スリーブ切除、胃バイパス術です。治療効果については全術式で体重の減量効果および糖尿病などの肥満関連合併症の改善効果がみられています。ただし現在保険診療で行うことができる術式は胃スリーブ術に限られています。胃スリーブ術の特徴は、手術操作が単純明快であること、胃バイパス術に比較して栄養吸収機能障害が少なく合併症の頻度が低いこと、術後日本人に多い胃癌の発生母地となる残胃の観察ができること、本邦の集計では治療効果がよいことがあります。このため当院で行っている減量手術も胃スリーブ切除術です。他の術式については保険診療外のため当院では行っていません。

胃スリーブ切除術について

胃スリーブ切除は胃の外側を大半切除してバナナの様に細くします。容量は約1/5に縮小しますので、食事摂取量が制限されることにより減量を目指します(図1)。

図1:胃スリーブ切除
図1:胃スリーブ切除

胃スリーブ切除の手術の合併症として

早期合併症:切離した胃などからの出血、胃を切除した部位がうまくつながらない縫合不全、おなかの中の膿だまり(膿瘍)など。また、全身的合併症として肺炎、無気肺、肺塞栓などの呼吸器合併症、心筋梗塞や不整脈、脳卒中などの心血管系合併症にも注意が必要です。
晩期合併症:バナナの様にした胃がねじれなどにより細くなり食事ができなくなる(狭窄)、胸焼けがひどくなる(逆流性食道炎)、手術部位への腸が癒着することにより起こる腸閉塞、手術部位の腹壁が弱くなる腹壁瘢痕ヘルニアなど。


合併症を起こすと、入院期間が長引くだけでなく、安静や絶食が必要になることや、ひとつの合併症がさらにその他の合併症を引き起こすこともあります。また再手術が必要となることもあります。手術死亡は0.5-1%程度と報告されています。