部門

生理機能検査

心臓、血管、肺、脳、神経などの生理的反応や機能を調べます。 生理検査室では以下のような項目を検査しています。

心臓の検査(心電図)心電図、マスター2階段負荷心電図
トレッドミル運動負荷心電図検査、CPX(心肺運動負荷試験)
ホルター心電図
イベントレコーダー(携帯型発作時記録心電図検査)
イベントホルター(HeartNote)
血管の検査ABI/PWV(動脈硬化検査)
血圧の検査ABPM(24時間自由行動下血圧測定)
肺・気管支の検査機能検査
脳神経の検査 脳波検査
誘発筋電図(神経伝導速度検査)、EnoG(顔面神経)
めまいの検査重心動揺検査
睡眠の検査 簡易睡眠時無呼吸モニター
PSG(終夜睡眠ポリグラフ)
その他・・・UBIT尿素呼気試験

心電図、負荷心電図

心臓には洞結節から発生する興奮を伝導する経路があり、それを伝わった電気刺激により心臓自身が収縮弛緩します。その収縮によって肺から酸素をもらった血液を全身に送りだし、全身で酸素を使用して心臓へ帰ってきた血液を肺へ送りだします。洞結節の興奮から、心臓自身の収縮弛緩までの一連の現象を手や足、胸部の電極から記録するのが心電図検査です。通常は仰臥位で安静にしたままで検査しますが、狭心症の診断のためには階段昇降をした後の心電図を記録します(負荷心電図)。負荷心電図は全身麻酔による手術を行う前に、心臓のスクリーニングとして行われる場合もあります。 心電図によって、上室性期外収縮や心室性期外収縮、心房細動、心房粗動、WPW症候群などの早期興奮症候群、心筋梗塞などの虚血性心疾患、洞不全症候群や伝導路ブロック(右脚ブロック、左脚ブロック、房室ブロック等)、右胸心、徐脈や頻脈等が診断できます。

トレッドミル運動負荷試験

心電図および血圧を測定しながら、トレッドミル(ベルトの上)を歩行し、心電図の変化を記録する検査です。患者さんの身長・体重・年齢・性別などから、運動の上限値(血圧および心拍数)を設定し、設定値に達するまで歩行速度および負荷量(ベルトの角度)を増やしながら検査を行います。心電図に変化が見られた場合、症状が誘発された場合にはその時点で検査が終了となります。この検査は、心電図室で行われるマスターの2階段負荷試験よりも強い負荷をかけることになり、検査は必ず循環器科の医師が行うことになっています。

トレッドミル運動負荷試験は次の様な目的で行われます。

狭心発作の検出・各種不整脈の検出および運動による重症度変化の確認・上記疾患の薬効評価

トレッドミル運動負荷試験を受けられる患者さんへ

  • 検査は運動をして行いますので、運動に適した服を持参してください。
  • 検査の際、汗をかくことが想定されますので、タオル等を1枚持参してください。
  • 胸毛のある方は、剃毛をして来てください。

ホルター心電図

胸部に電極を装着し、記録器を携帯して日常生活での心電図を1日分連続記録します。1日の心臓の変化(不整脈や狭心発作など)をみる検査です。

検査方法・検査について

  • 胸部に心電図電極を装着し、心電図を連続記録します。心電図は1日の活動状態により変化しますので、行動記録表にいろいろな動作、行動、症状の時刻を記入していただきます。翌日、記録器を取り外す際に必ず行動記録表を持参してきてください。
  • 記録中の入浴、シャワーは出来ません。検査日前日または来院前の入浴等をお勧めします。
  • 胸部に電極を装着しますので、胸毛のある方は剃毛してきてください。
  • 服装は、胸部が簡単に出せる服装でお願いします。(ワンピース、つなぎ、着物、ボディースーツ、ブラスリップ等は避けてください)
  • 検査前および検査中の食事制限はありません。お薬は特に医師の指示がない限り、通常と同様に服用してください。
  • 記録器の台数は限られていますので、取り外し時刻は厳守してください。万一来院が遅くなる場合は、連絡をお願いします。

※故意または重大な過失により検査機器や機器備品を紛失または破損した場合、返却遅滞により損害が発生した場合は、検査受診者に弁償責任が発生することがあります。

行動記録表の記載方法

検査中の行動・症状を記入する記録表をお渡しします。
時刻を左時間枠に記入し、対応する行動や症状の項目のところにチェックしてください。 症状や状態に変化がみられたときは、レコーダ上部の青いボタン(イベントボタン)を押して、イベント発生時刻を記入し、該当する項目にチェックをしてください。

検査中の注意事項

1)入浴・シャワー等

装着中の入浴、シャワー等はできません。体を拭いたり、足を洗ったりは出来ますが、記録器および胸部を濡らさないように注意してください。

2) 記録器の取り扱いについて

記録器をケースから出さないようにしてください。記録器は精密機械です。落としたり、ぶつけたり、水に濡らさないように注意してください。

3) 家庭電化製品について

通常の家電(携帯電話も)のほとんど影響はありません。使用禁止のものは、電気毛布、低周波治療器などです。

  • こたつ・・・・・足だけなら使用可
  • ホットカーペット・・・・横になったり、記録器を直接上に置かないようにして下さい。

4)行動記録表について

記録表は結果を解析、診断する上で重要なものになります、行動や自覚症状などの情報を忘れずに記録してください。

5)イベントボタンについて

検査中に自覚症状があった時は記録器のイベントボタンを押してください。

イベントレコーダー

症状が出たときに自身で記録ボタンを押して、心電図の記録をする検査です。症状の発生頻度が比較的少ない方が対象となります。

検査内容、方法

  • 常時心電図電極を装着し、記録器を携帯していただきます。症状があった時点ですぐに記録器のボタンを押し、記録をします。ボタンを押した内容を指定の記録表に記載してください。(イベント発生日時および症状等の内容)
  • 記録器の貸し出し期間は1週間です。
  • 入浴・シャワーは記録器、電極を外しておこなうことが可能です。再装着の際は、よく水分をふき取っておこなってください。

イベントホルター(HeartNote)

・胸部に心電図記録装置を貼り付けて、心電図を1週間連続記録します。
・検査中はシャワー浴、半身浴が可能です。
・装着中はCT、MRI、X線等の検査はできません。
・自覚症状が出たら、日時と症状を行動記録表に記載してください。症状がなくても、取り外し時には必ず行動記録表を持参してください。
・装置の貸出期間は1週間です。

ABI/PWV(動脈硬化検査)

血管は加齢とともに誰でも硬化していきます。しかし、高血圧、高脂血症、糖尿病他の患者さんはその進行が速くなってきます。この検査は全身の動脈硬化を調べる検査です。四肢の血圧を同時に測定することにより、ABI(足関節上腕血圧比)、PWV(脈波伝播速度)が算出されます。ABIは腕の血圧と足首の血圧比で、四肢末梢における全身的な血管の動脈硬化の程度や狭窄の有無の判定に有用です。ABI値が0.9以下の場合、下肢閉塞性動脈硬化症の疑いがあります。動脈硬化により下肢の血管の狭窄が進んでいることを表します。PWV(baPWV)は腕から足首までの脈波の伝播速度で、直接血管のしなやかさ、硬さの程度を把握することができます。この値が大きい程血管壁が硬くなっていることを表します。

ABPM(24時間自由行動下血圧測定)

携帯型の血圧記録器を装着して1日の血圧の変動を調べる検査です。診察室以外での血圧を測定し、隠された高血圧(仮面高血圧)を診断することができます。また、くすりの薬効評価にも利用されます。

記録は30分間隔でおこないます。就寝中の血圧も測定し、装着時間は約25時間です。装着日の翌日の指定時刻に記録器の返却をお願いします。貸し出し機器の台数に限りがありますので、返却時刻は厳守してください。

注意事項

1)腕に巻くカフは素肌に装着し、装置は服の上に装着します。カフは血圧測定時に膨らみますので、長袖の下着は着用せず、ゆとりのある服装で来院してください。記録器は服の外に出して装着します。

2)検査前および検査中の食事制限はありません。お薬は特に医師の指示がない限り、通常と同様に服用してください。

3)検査中の入浴は出来ませんので検査日前夜または来院前の入浴をお勧めします。

肺機能検査(呼吸機能検査)

肺の機能は大気中の酸素を体内に取り込み、体内で産生された二酸化炭素を体外に放出することです。この肺や空気の通り道である気管支の障害を評価するのが肺機能検査です。また、全身麻酔の手術では、手術前の肺の状態を知っておくことが非常に重要になるために肺機能検査を行います。喫煙によっても肺機能が低下するため、喫煙者の肺機能検査が行われることがあります。検査項目は肺の中にどれくらいめいっぱい空気を取り込むことが出来るかを調べる肺活量検査、一秒間にどれくらいの量の空気を一気に吐き出せるかを調べる一秒量、普段使ってない肺の量がどれくらいあるかを調べる残気量検査、肺でのガス交換がうまくいっているかを調べる肺拡散能力検査などがあります。このような検査は、気管支喘息や慢性気管支炎、肺気腫、肺線維症などの診断の補助的役割があります。

気道過敏性試験と気道可逆性試験

気道過敏性試験(ヒスタミン吸入試験)

  • 気道を収縮させる薬剤を吸入して、気道収縮の状態を努力性肺活量の1秒率で調べます。気管支喘息の方は外からのさまざまな刺激に対して気管支の筋肉が収縮しやすい状態にあります。薬を使って気管支喘息の発作を誘発する試験です。
  • 検査は予約でおこなっています。検査前の抗喘息剤(吸入、点滴、内服液)の服用は少なくとも12時間以上中止してください。
  • 呼吸困難、喘鳴(ゼィゼィ、ヒューヒュー)があるときは検査ができませんので、その旨内科外来へ連絡してください。

気道可逆性試験

  • 気道の閉塞が可逆性かどうかを調べる検査です。気管支喘息は、時々発作という形で現れ、発作のないときは健康な人と変わらないという特徴があります。気道の閉塞の状態が良くなったり、悪くなったりする、こういう状態を可逆性といいます。気管支を広げる薬剤を吸入すると、前と後で努力性肺活量の1秒量を検査し、変化・可逆性をみます。

呼気NO検査(FeNO)

呼気中の一酸化窒素濃度(呼気中NO)を測定して気道の炎症状態を評価する検査です。気管支喘息の診断や治療のコントロールの指標として用いられます。モニター画面を見ながら10秒程度呼気を一定速度で吹き込むだけですので、小児でも可能な検査です。

脳波検査

この検査は脳の電気的活動を頭皮に電極をつけて調べる検査です。

検査を受けられる方へ

  • 服装は軽装でお願いします。
  • 検査中は睡眠していただきますので、出来る限り眠ることの出来る状態で来院してください。 (検査前夜の睡眠時間を少なくするなど)
  • 食事制限はありませんが、眠気を妨げるものは控えてください。
  • 頭髪の整髪料はつけないようにしてください。かつらの場合は外して検査をおこないます。

NCV(神経伝導速度検査)

末梢神経機能の客観的評価方法として用いられている検査です。検査は上腕または下肢の末梢神経に皮膚の上から電気刺激を加え、刺激された筋肉や神経幹の電気的興奮を皮膚の上においた電極から記録する検査法です。手足のしびれなど神経障害を疑われる場合に末梢神経には筋肉を支配している運動神経と、感覚を支配している感覚神経があり、反応性や、波形の大きさ、神経の興奮が伝わる速度などから評価します。検査は約1時間で終わりますが、人によっては神経の反応が悪かったり、検出に時間を要する場合もありますので余裕を持って、御来院ください。また、検査においては電気刺激を与えるため、チクチクといった痛みが多少伴います。

SSEP(体性感覚誘発電位検査)

末梢神経障害以外にも神経根障害、頚髄部病変、脳幹から大脳皮質にかけての病変の診断に有効です。末梢神経に皮膚の上から電気刺激を加え、電気的興奮を頭に おいた電極から記録し体性感覚野の記録する検査法です。当院では、脳腫瘍を摘出する手術中に脳の機能分布を知るためにも検査しています。

ABR(聴性誘発電位)

ヘッドホンからの音刺激によって誘発される聴神経や脳幹聴覚路の活動電位を、頭皮上においた電極から記録する検査です。従って、中脳から脳幹にかけての機能状態を反映し、その異常は聴覚路およびその周辺、あるいは脳幹全体の異常を示唆します。脳幹とは、生命の維持に重要な部位であり、呼吸や意識を調節しています。ABR検査は、脳死の判定の際、脳幹機能の診断の補助として使用されます。

重心動揺検査

めまい、ふらつきなどの症状があるときにおこなう検査です。検査機器の上でたってもらい、直立姿勢をとります。このときの体の揺れを記録・解析して平衡機能障害の原因を調べる検査です。

アプノモニター(睡眠時無呼吸モニター)

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中の頻回の呼吸停止による低酸素血症から夜間の睡眠障害がおこります。このため日中の傾眠傾向・集中力の低下を引き起こし、就労効率の低下を招きます。また、居眠り運転などの事故につながる可能性がある社会的疾患として知られており、突然死の原因の一つとも考えられています。 この検査は睡眠時の無呼吸の有無と、停止時間を調べます。 呼吸センサー・胸ベルト・酸素濃度センサーを就寝時につけて頂きます。1晩検査を行い、翌日返却して頂きます。

PSG(終夜睡眠ポリグラフ)

夜間睡眠中の異常を把握するために行う検査です。新幹線の停止ミスで知られた睡眠時無呼吸症候群をはじめ、周期性四肢運動による睡眠障害などもわかります。睡眠時無呼吸症候群の検査として、当院にはアプノモニターも行っていますが、PSG検査の方が、無呼吸の回数、長さ、それに伴う頻脈、酸素濃度など、より精密な結果を得ることができます。しかし、入院が必要であり、装着するセンサーも多数あるため、患者さんの負担は大きくなります。装着するセンサーは、睡眠を見るための脳波や、いびきセンサー、鼻と口からの呼吸センサー、お腹と胸の呼吸運動をみるセンサー、心電図、酸素飽和度、脚の筋電図などです。装着は検査技師が行います。多数のセンサーも寝返りなどをしてもすぐには取れないように工夫しており、センサー類が絡まないように上手く装着しますので、心配はいりません。

睡眠時無呼吸症候群になると、こんな症状がでてきます。

  • 大きないびきをかく
  • 睡眠中に呼吸停止がある
  • 昼間に眠気がある
  • 起床時の頭痛や口渇がある
  • 睡眠中に体動やけいれんがある
  • 記憶力、集中力の低下がみられる
  • 夜間、トイレに何回も起きることがある

終夜睡眠ポリグラフィー検査を受けられる方への注意点

  • 食事制限は特にありません。
  • お薬は特に医師の指示がない限り、通常と同様に服用してください。
  • 寝巻きは綿のもので上下が分かれていて、足首がしまっていないものを用意してください。
  • ひげを剃っておいてください。
  • かつらの方は外してから行います。
  • 検査は一晩かけて行います。
  • 当日午後4時30分に入院していただきます。
  • 入院当日の夕食、翌日の朝食は用意いたしません。各自でご用意ください。
  • 就寝後に水分を取りたい方は、ストローをご用意ください。
  • 午後5時30分頃から検査の準備をいたします。センサー装着後に夕食を取っていただきます。
  • 翌日、検査機器は午前6時頃にはずす予定です。はずした後は帰っていただいてかまいません。
  • 会計は午前10時以降となりますので、都合のつかない方は後日でもかまいません。

持続陽圧治療器(CPAP)による効果判定のための終夜睡眠ポリグラフィー検査を受けられる方への注意点

  • 食事制限は特にありません。
  • お薬は特に医師の指示がない限り、通常と同様に服用してください。
  • 寝巻きは綿のもので上下が分かれていて、足首がしまっていないものを用意してください。
  • ひげを剃っておいてください。
  • かつらの方は外してから行います。
  • 当日はCPAP機器を持参してください。
  • 生理機能検査室でCPAPの使用状況を確認してから、午後4時30分に病棟へ入院していただきます。
  • 入院当日の夕食、翌日の朝食は用意いたしません。各自でご用意ください。
  • 就寝後に水分を取りたい方は、ストローをご用意ください。
  • 午後5時30分頃から検査の準備をいたします。センサー装着後に夕食を取っていただきます。
  • 翌日、検査機器は午前6時頃にはずす予定です。はずした後は帰っていただいてもかまいません。
  • 会計は午前10時以降となりますので、都合のつかない方は後日でもかまいません。

UBIT尿素呼気試験

この検査は、胃・十二指腸内にピロリ菌がいるかどうかを調べる検査です。

検査を受けられる方へ

  • 食事制限があります。前日の午後11時以降の飲食は不可です。 (少量の水のみ可です。お茶、コーヒー、紅茶、牛乳などは不可です。)
  • 風邪薬や他の疾患の薬等、特に医師の指示がない薬に関しては通常と同様に服用していただいて構いません。