令和元年度 小牧市民病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 1019 235 310 377 931 1159 2004 3986 2104 322
 年齢階級別退院患者数は、小牧市民病院を退院した患者さんの年齢を10歳刻みで集計したものです。当院は、地域の中核病院として幅広い年齢層の患者さんを診療しています。中でも「地域がん診療連携拠点病院」として積極的に行っているがんの治療や、救急患者も多い循環器疾患の患者さんが多く存在する60歳以上の患者さんは67.6%と高く、また一方で、周産期医療や小児疾患の診療需要が多いことも特徴の一つと言え、0~9歳の患者さんが占める割合は8.2%と高くなっています。
 昨年度公表しました同指標と比べますと、新病院移転前後の診療制限による影響が大きく、患者数合計は398人減少しました。年代別の分布割合では、20代(+0.7%)、50代(+0.4%)、70代(+0.6%)、80代(+0.2%)、90代(+0.2%)が増加し、9歳以下(-0.2%)、40代(-0.1%)、60代(-1.7%)が減少しました。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 157 2.29 3.34 0.00 70.35

気管支鏡検査

030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1あり 57 2.00 2.03 0.00 57.77
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2なし 57 19.89 18.84 1.75 71.93
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 51 6.80 9.59 0.00 71.98
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 46 17.37 14.62 6.52 76.04
 当院の呼吸器内科では、肺癌、呼吸器感染症、気管支喘息、COPD、間質性肺炎など多種多様な呼吸器疾患に幅広く対処できるよう体制を整えています。特に肺がんにおいては、上記にもありますように当院における患者さんの割合が多い疾患であり、手術適応に関して当院の呼吸器外科と連携して慎重に決定し、手術適応でない患者さんには化学療法や分子標的治療、免疫療法、放射線治療など、肺がんのタイプや進行度に合わせて適切な治療法を提案させていただいております。また、積極的な治療が難しい患者さんに対しても、緩和ケアチームと協力して症状緩和やQOL(生活の質)向上に努めています。このように、当院は尾張北部医療圏における地域がん診療連携拠点病院としての役割を担っています。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 160 8.42 9.79 1.88 73.77
060020xx04x0xx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 手術・処置等2なし 60 8.17 8.27 0.00 74.87
060102xx99xxxx 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 53 6.40 7.65 0.00 60.21
060140xx97x00x 胃十二指腸潰瘍、胃憩室症、幽門狭窄(穿孔を伴わないもの) その他の手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 49 10.55 10.49 6.12 69.61
060295xx99x00x 慢性C型肝炎 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 35 2.09 6.12 0.00 69.26

肝生検

 当院の消化器内科では、食道、胃、十二指腸、大腸などの消化管の診断と治療、肝胆膵疾患の診断と治療など多岐多彩にわたる臓器の治療を担っています。当院は三次救急病院であるため、緊急検査も多く実施しており、消化管疾患に対する内視鏡等は常時可能な状態とするよう努め、緊急時の迅速な対応を心掛けています。また、超音波内視鏡による粘膜下腫瘍の診断やがんの進達度診断の向上に努めており、早期の食道・胃・大腸がんに対しては、可能な限り内視鏡的切除を行っています。総胆管結石、悪性腫瘍等における閉塞性黄疸に対しては、ステント等によるドレナージを多く実施しています。ウイルス性肝炎に対しては、抗ウイルス剤の使用についても積極的に行っています。また、肝がんに対しては、選択的肝動脈塞栓療法、ラジオ波による焼灼治療を積極的に取り組んでいます。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 303 2.22 3.01 0.00 67.97
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2なし 240 4.38 5.02 0.00 67.72
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 172 3.53 4.4 0.00 68.38
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 123 17.86 17.71 4.88 81.31
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 その他の手術あり 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 86 9.94 12.37 0.00 66.33
 上記第1位の症例である「狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11(心臓カテーテル検査)あり 手術・処置等2なし 副傷病なし」は、当院全体で最も多い症例数です。
 当院の循環器内科は、日本循環器学会研修施設、日本心血管インターベンション治療学会研修施設に認定され、名古屋北部を含む尾張北部地域の循環器医療を担っています。また、植え込み型除細動器(ICD)認定施設、心臓同期療法(CRT)認可施設、腹部ステントグラフト実施施設、ロタブレーター認可施設となっています。循環器疾患は緊急での初期治療が極めて重要であり、24時間体制で急性冠症候群(不安定狭心症、急性心筋梗塞)に対する緊急冠動脈インターベンション(PCI)(第3、5位の症例)、急性肺動脈塞栓、深部静脈血栓症に対する血栓融解、血栓吸引療法及び静脈フィルター留置術などの急性期の血管内治療、及び急性心不全、急性大動脈解離などの急性疾患に対処しています。さらに、不整脈に対するカテーテルアブレーション治療(第2位の症例)やペースメーカー治療、重症心不全に対する心臓再同期治療、肺高血圧症に対するフローランの持続療法、閉塞性動脈硬化症に対する末梢血管のカテーテル治療、心臓血管外科と合同で行う腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術、ハイブリッド末梢血管治療など循環器領域全般にわたる治療を行っています。なお、2019年の新病院移転の際にハイブリット手術室を導入したことで、血管内治療中に外科的な治療が必要になった際に患者さんを移動させることなく治療することが可能となり、より安全で難易度の高い治療を提供できるようになりました。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 107 19.45 15.79 0.00 68.76
130010xx97x2xx 急性白血病 手術あり 手術・処置等22あり 32 40.38 39.36 0.00 67.47
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等24あり 副傷病なし 30 26.07 31.3 0.00 67.10
130030xx97x3xx 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等23あり 20 22.10 32.2 0.00 50.25
130030xx99x30x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等23あり 副傷病なし 17 20.29 16.5 0.00 65.76
 血液内科の主な対象疾患は、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群などの造血器腫瘍ですが、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病などの非腫瘍性疾患も含めた血液の病気全般を診療しています。血液内科は専門性が高いことから、地域の中核病院でも常勤医を持たないことが多い領域です。そのため、当院の血液内科の医療圏は、小牧市内に限らず名古屋北部も含む尾北地区の広範囲にわたっています。
 当科では毎週カンファレンスを行い、患者さんの治療方針について話し合いを行っています。基本的には「造血器腫瘍診療ガイドライン」に基づいた治療を励行していますが、患者さんの年齢、合併症などガイドライン通りの治療が困難な場合などは、患者さんと相談して最善の治療法を選択するなど柔軟な対応にも努めています。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 副傷病なし 33 4.45 8.48 0.00 70.58
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1あり 副傷病なし 12 8.75 7 0.00 48.50
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2なし - - 20.93 - -
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - - 11.67 - -
110280xx99010x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 副傷病なし - - 14.23 - -
 当院の腎臓内科は、腎炎、ネフローゼ症候群、腎不全、膠原病(SLE・強皮症などの腎症状を呈する疾患)を担当しています。通常の血液透析以外に持続血液透析濾過(CHDF)、エンドトキシン吸着(PMX)、血漿交換(PE)、顆粒球吸着(G-CAP)など様々な血液浄化療法に対応しています。
 2019年の腎臓内科入院患者総数(一般内科を除く)は115名であり、腎生検数は22件、手術件数は56件、経皮的血管形成術(シャントPTA)は6件でした。腎生検は4泊5日の入院で行っており、複数の専門医による病理診断を行い患者さんに最適の治療法を選択しています。
糖尿病・内分泌内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 手術・処置等2なし 副傷病なし 20 11.35 13.41 0.00 56.05
100180xx991xxx 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 14 3.43 3.8 0.00 51.43
100070xx99x110 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等21あり 副傷病あり85歳未満 13 11.31 15.2 0.00 64.77
100071xx99x110 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全あり。) 手術なし 手術・処置等21あり 副傷病あり85歳未満 - - 14.74 - -
100070xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等21あり 副傷病なし85歳未満 - - 13.72 - -
 当院の糖尿病・内分泌内科では、糖尿病、内分泌疾患を診療の対象としています。糖尿病教育やインスリン導入は、入院に比較して患者さんの時間的な制約や経済的な負担が小さい外来をメインに行っております。
また、内分泌疾患の各種の機能検査においても、可能な限り外来で実施しています。入院においては、外来診療で血糖コントロールの達成が難しい患者さんに対する教育入院(上記の第3~5位)、合併症の進行した症例(第1位)等を主に診療しています。患者さんの負担を考慮して、可能な限り早期の退院を心がけているため、全国に比較して在院日数が短い結果となっています。看護局、栄養科、薬剤部、検査部、リハビリ科、医務局の各部門スタッフで構成する糖尿病サポートチームと協力し、管理栄養士による栄養指導、看護師及び管理栄養士による透析予防外来、看護師によるインスリン自己注射の指導、臨床検査技師による血糖自己測定の導入、糖尿病教室等を実施しています。また、地域の医療機関との連携を大切にし、地域の糖尿病診療の一環として、年に3回ほど地域の糖尿病患者さんを対象にした糖尿病教室「糖尿病とともに」を開催しておりますが、2019年度は81名の参加がありました。
総合内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 副傷病なし発症前Rankin Scale 0、1又は2 102 12.79 16.13 11.76 69.50
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 副傷病なし 84 13.08 12.58 5.95 74.83
010060x2990411 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 副傷病1あり発症前Rankin Scale 0、1又は2 60 15.50 18.24 33.33 72.32
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 55 20.84 20.84 20.00 85.15
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 29 22.31 17.71 17.24 84.03
 当院の総合内科では、呼吸器・消化器・循環器等の疾患において専門領域まで至らない病態の患者さんや、脳梗塞をはじめとする脳神経内科疾患を担当、治療に当たっています。従いまして、脳梗塞、誤嚥性肺炎が入院の主因となっています。脳梗塞においては、当院と他の病院・診療所との間において地域連携パスによる急性期治療後のリハビリテーションを連携しているため、脳梗塞における転院率が高い状況となっています。 
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 副傷病なし 146 5.77 6.19 0.00 1.12
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 109 5.54 5.69 0.00 4.73
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2なし 副傷病なし 103 5.90 6.64 0.97 2.87
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 手術・処置等1あり 87 1.11 2.15 0.00 2.97

食物アレルギー

060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2なし 76 4.57 5.39 0.00 3.36
 当院の小児科では、新生児・小児科的疾患全般を担当しています。尾張北部医療圏における三次救急医療機関として、連日当直医を置き、夜間、休日ともに小児救急医療に対応しています。また、急性疾患の管理のみならず、アレルギー疾患、内分泌疾患、腎疾患、循環器疾患、神経疾患などの小児慢性疾患の治療も行っています。また尾張北部を代表とする地域周産期母子医療センターとして、新生児特定集中治療室(NICU)や新生児治療回復室(GCU)を備え、24時間365日にわたり地域の周産期医療を行っています。近隣産科開業医から、ハイリスクの妊婦さんを母体搬送していただき、産科と協力し地域の周産期の業務も担っています。さらに院外出生の病的新生児の受け入れ対応も行っています。また日本小児科学会認定研修施設および日本周産期・新生児医学会指定研修施設に認定されています。小児科では呼吸器系の疾患が多くを占めています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 135 3.23 4.85 0.00 69.90
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2なし 109 9.18 10.34 0.00 61.82
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 74 9.39 8.89 0.00 67.08
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 72 5.44 6.37 0.00 59.18
060335xx02000x 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 65 5.38 7.13 0.00 60.28
 当院の外科では、消化器(食道、胃、大腸、肝臓、膵臓など)と乳腺の悪性疾患、良性疾患(胆石症、胆のうポリープ、炎症性腸疾患など)や腹部の緊急疾患(腸閉塞、虫垂炎、大腸憩室炎など)と多岐にわたる診療を担っています。特に、地域がん診療連携拠点病院としてがん治療に積極的に取り組んでおり、診療ガイドラインに基づいたがん治療を行うとともに、名古屋大学を中心とした中部臨床腫瘍機構(CCOG)の臨床試験に数多く参加し、少しでも患者さんにとってメリットのあるがん治療法の開発にも参画しています。
 外科治療は患者さんの身体に負担を与えたうえで成り立つ治療法であることから、体の負担が少ない腹腔鏡手術を良悪性問わず積極的に取り入れ、また、2019年の新病院移転の際には手術支援ロボット(ダヴィンチ)を導入し、より精密かつ安全性の高い治療を提供しています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010010xx9906xx 脳腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等26あり 172 3.72 3.93 2.33 65.38
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 63 13.57 18.81 50.79 64.46
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 57 9.16 9.67 19.30 76.82

慢性硬膜下血腫

160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 30 4.57 7.34 6.67 69.73
010040x0991xxx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1あり 29 3.03 3.28 0.00 40.07
 当院の脳神経外科では顕微鏡手術の他、ガンマナイフを含む画像診断を用いた定位脳手術、内視鏡手術、カテーテルを使用した血管内手術、難治性疼痛に対する刺激電極挿入など幅広く脳神経外科疾患の最先端の治療を専門的に行っています。特に定位的放射線治療装置であるガンマナイフは、1991年5月に全国に先駆けて導入し、約9,000人以上の患者さんに対して治療してきました。令和元年5月の新病院移転と同時にガンマナイフ最新ユニットを導入したことにより、従来のような頭蓋骨にフレーム固定せずに治療することが可能となり、単回照射だけでなく分割照射が可能になり、大きな腫瘍や視神経など重要組織近傍にある病変でも分割照射を行うことで安全に治療が可能となりました。
 当院の脳神経外科の特徴は外科手術、放射線治療、血管内治療、化学療法など様々な治療のエキスパートが揃っており、個々の疾患に対してあらゆる角度から最善の治療法を選択できることです。また、名古屋大学脳神経外科教室と連携し、いつでも大学病院と同等の先端治療が提供できるよう努めております。この地域の他の医療機関と連携して脳血管障害の急性期治療に対処しています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 210 20.99 25.94 76.19 80.47

人工股関節置換術

070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 72 21.51 23.56 18.06 74.18

人工膝関節置換術

07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 49 20.92 21.53 22.45 69.35

人工股関節置換術

160720xx01xxxx 肩関節周辺の骨折・脱臼 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿等 49 6.53 15.09 6.12 71.08
160760xx97xxxx 前腕の骨折 手術あり 44 2.61 5.54 0.00 54.95
 整形外科では、上肢、下肢、脊椎など幅広い運動器の疾患や外傷を治療疾患としております。当院は高度な医療を担う三次救急医療機関であることから、多発外傷をはじめ交通事故や労働災害による外傷患者を広く受け入れています。治療の特色としましては、骨折の治療一般においては最先端の治療法を積極的に取り入れており、できる限り侵襲の少ない手術方法を選択することで患者さんの身体負担を軽減するよう努めています。また、高齢者の大腿骨頸部骨折の治療では、認知症などの合併症を予防する目的で積極的な手術療法と術後早期のリハビリテーションを行っており、当院と他の病院・診療所との間において地域連携パスによる急性期治療後のリハビリテーションを実施しています。なお、術後安定した患者においては早期転院を勧め、救急外傷の患者のためにベッドを確保するように努めています。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 70 8.11 9.71 0.00 45.83

開腹手術

120070xx01xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 開腹によるもの等 46 7.72 10.11 0.00 45.39

開腹手術

12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 手術・処置等2なし 45 3.00 3.13 0.00 37.80

脊椎麻酔下膣式手術

12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮悪性腫瘍手術等 手術・処置等2なし 29 8.00 12.29 0.00 56.07

開腹手術

120100xx01xx0x 子宮内膜症 子宮全摘術等 副傷病なし 23 7.83 7.37 0.00 42.39

開腹手術

腹腔鏡手術(4日間)

 当院の産婦人科では、産婦人科領域全般にわたる診療を行っており、当直制により救急患者さんに24時間対応できる体制をとっています。
産科部門としましては、新生児特定集中治療室(NICU)と新生児治療回復室(GCU)を備えており、尾張北部医療圏の周産期母子医療センターに指定されていることから、近医よりハイリスク妊娠の紹介例も多く、小児科をはじめ他科の協力のもと母児の管理を行っています。
婦人科部門におきましては、卵巣腫瘍、子宮筋腫、性器脱などの良性疾患の保存療法と手術治療を行っており、悪性腫瘍に対しては、手術に加え病期に応じた化学療法や放射線療法を行っています。また、症例に応じて腹腔鏡手術も導入しています。
不妊部門にも力を入れており、令和元年度の新病院開院にあわせて「生殖医療センター」を開設しました。専従の培養士を配置し、タイミング治療や人工授精などの一般不妊治療から、体外受精や顕微授精など幅広い診療を行っています。
耳鼻いんこう科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 61 8.30 7.8 0.00 17.39

口蓋扁桃摘出術

030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 36 4.83 5.45 0.00 46.64
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 34 5.91 6.8 0.00 57.59

全身麻酔ESS

100130xx97x0xx 甲状腺の良性結節 手術あり 手術・処置等2なし 23 7.04 7.37 0.00 56.57

甲状腺摘出術

030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 21 6.19 7.24 0.00 56.57

全身麻酔手術(ドレーンあり)

 耳鼻いんこう科では、耳(側頭骨、内耳、中耳、外耳)、鼻(鼻腔、副鼻腔)、咽頭(上咽頭~下咽頭)、喉頭のほか舌、口腔、唾液腺など比較的広範囲の疾患が治療対象となります。内容はめまいなどの神経耳科的疾患から頭頸部悪性腫瘍に至るまで多彩であり、また、上気道狭窄など緊急を要する疾患もあります。当院においては、頭蓋底操作が必要な悪性腫瘍のほか気管・気管支異物のように特殊なものについては大学病院に治療を依頼することもありますが、それら以外は耳の手術から再建を含む悪性腫瘍の手術までほぼ全領域の治療に対応しています。特に、慢性中耳炎・真珠腫の手術的治療、鼻副鼻腔炎及び鼻茸症に対する内視鏡下鼻副鼻腔手術、頭頸部腫瘍の治療を重点目標としています。なお、高齢化に伴う脳血管障害後の嚥下障害が社会的な問題にもなってきていますが、嚥下障害に関しては耳鼻いんこう科が中心となり嚥下機能評価を行い、リハビリのスタッフと密に連携し診療にあたっています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり片眼 34 3.00 2.78 0.00 77.71

白内障手術(2泊3日)

020150xx97xxxx 斜視(外傷性・癒着性を除く。) 手術あり 15 3.00 3.17 0.00 22.73
020370xx99xxxx 視神経の疾患 手術なし - - 10.85 - -
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり両眼 - - 5.09 - -
020220xx97xxx0 緑内障 手術あり片眼 - - 7.53 - -
 当院の眼科では、各病院やクリニックとの連携を大切に患者さん本位の医療を目指しています。主に白内障手術を行っており、患者さんの身体的状態や眼の状態によっては日帰り手術も行っています。外来での白内障手術を414件実施しています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 20 11.40 12.55 5.00 68.65
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 19 7.74 9 0.00 65.84
080030xxxxxxxx 疱疹(帯状疱疹を除く。)、その類症 - - 7.42 - -
080110xxxxx0xx 水疱症 手術・処置等2なし - - 28.56 - -
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし - - 15.48 - -
 当院の皮膚科では、一般的な皮膚疾患に対する治療はもちろんのこと、アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・膠原病などの難治性皮膚疾患に対し、総合病院の特色を活かして他科と連携をとりながら、皮膚科学会などのガイドラインに沿ったスタンダードな治療を行っています。入院においては、一般的な細菌感染症やウイルス感染症、薬疹が多く、そのほか水疱症(尋常性天疱瘡、類天疱瘡)、膠原病などの患者さんの治療を行っています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991x0x 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 副傷病なし 192 2.02 2.49 0.00 71.02
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 手術・処置等1なし 副傷病なし 136 3.35 5.61 0.00 59.66
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 109 3.79 7.07 0.00 74.76
11012xxx040x0x 上部尿路疾患 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき) 手術・処置等1なし 副傷病なし 75 3.01 2.64 0.00 57.29

体外衝撃波結石破砕術

110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 38 10.87 12.18 0.00 70.55
 当院の泌尿器科では、尿路性器悪性腫瘍(前立腺がんや膀胱がん、腎がんなど)、尿路性器感染症(腎盂腎炎や膀胱炎、前立腺炎など)、尿路結石(腎結石や尿管結石など)、尿路良性疾患、尿路外傷、排尿障害や腎移植などを治療疾患としています。
 当院は、上部尿路結石治療として体外から衝撃波で破砕するESWL装置を1987年10月に愛知県下で最も早く導入し、1991年7月に日本で最初に腹腔鏡による腎臓摘出手術を施行、1992年に世界に先駆けて腎癌に対する腹腔鏡下根治的腎摘術を行うなど、先進的治療を積極的に取り入れているのが特徴です。近年では、腎部分切除、尿膜管遺残切除、腎盂形成術、尿管切石術、仙骨膣固定術など、今までは開腹で行っていた手術を順次腹腔鏡で行うようになり、2019年の新病院移転後からは手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いたロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術を開始しました。また、腎移植においては、1986年2月に第一例目の献腎移植を行って以来38年の間に163例(生体腎を含む)実施しており、2019年は生体腎1例、献腎1例実施しました。さらには、2008年1月より「排尿ケアセンター」を開設し、排尿障害の総合的な診療を行っています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 13 3.15 5.26 0.00 45.38
070520xx97xxxx リンパ節、リンパ管の疾患 手術あり - - 8.71 - -
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1なし - - 4.01 - -
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) その他の手術あり 手術・処置等1なし - - 4.67 - -
090010xx04xxxx 乳房の悪性腫瘍 組織拡張器による再建手術(一連につき) 乳房(再建手術)の場合等 - - 8.03 - -
 当院の形成外科では、外傷や熱傷などの創傷治療のほか、マイクロサージャリー(顕微鏡を覗きながら特殊な機器を用いて行う手術)、顔面骨骨折、乳房再建、眼瞼下垂などの治療を行っています。創傷治療は、外傷や熱傷のほか、手術創や難治性潰瘍などさまざまな創傷を対象として湿潤療法を主体に行っています。また、マイクロサージャリーは、外傷による血管、神経損傷をはじめ、腫瘍切除に伴う欠損(頭頚部、乳がん等)に対する遊離組織移植による再建を行っています。
このように、体表奇形や後天性欠損などの疾患に対する形態的かつ機能的な修復再建を担っています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2なし 28 6.54 11.75 0.00 76.89

心臓血管外科手術

050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 21 14.95 22.71 0.00 69.38

心臓血管外科手術

050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 13 2.00 2.78 0.00 65.38

心臓血管外科手術

050070xx9701xx 頻脈性不整脈 その他の手術あり 手術・処置等1なし、1,3あり 手術・処置等2あり 12 15.00 28.68 0.00 68.17

心臓血管外科手術

050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 副傷病なし - - 23.77 - -

心臓血管外科手術

 当院の心臓血管外科では、成人の心臓血管外科全般を対象として外科治療を行っています。尾張北部医療圏における三次救急医療機関として救命救急センターを併設しており、不安定狭心症、急性心筋梗塞、急性大動脈解離、大動脈瘤破裂等の循環器系の重症救急患者さんに対して24時間体制で対応しています。当院の特徴として、心臓弁幕手術において日本でもいち早く僧帽弁形成術を行い、内視鏡下手術を導入するなど最先端の治療を行っています。また、弁形成術弁膜症に対する弁形成術の選択、冠動脈バイパス術に対する脳合併症の少ないオフポンプという人工心肺を用いない方法の導入、さらには、小さな傷で行うMICS(低侵襲心臓手術)の導入など、患者さんに対して術中の負担が少なく、かつ、術後の長期間に及ぶ生活の質(QOL)に特に優れている治療法を積極的に導入しています。
 なお、2019年の新病院移転の際にハイブリット手術室を導入したことで、血管内治療中に外科的な治療が必要になった際に患者さんを移動させることなく治療することが可能となり、より安全で難易度の高い治療を提供できるようになりました。
 2019年度の実績は手術総数215例であり、心臓大血管手術は106例でした。その内訳は虚血性心疾患手術30例、心臓弁膜症手術39例、胸部大動脈瘤手術12例、先天性心疾患手術2例、その他10例となっています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2なし 121 9.88 11.51 0.00 69.32
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 52 9.02 10.18 0.00 39.38
040150xx97x00x 肺・縦隔の感染、膿瘍形成 手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 11 39.18 31.04 18.18 73.64
160995xxxxx0xx 気道熱傷 手術・処置等2なし - - 4.02 - -
040030xx01xxxx 呼吸器系の良性腫瘍 肺切除術 気管支形成を伴う肺切除等 - - 9.26 - -
 当院の呼吸器外科では、肺がん、自然気胸、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍のほか、呼吸器全般の疾患を対象とした外科治療を行っています。肺がんの患者さんが増加したことや近隣の総合病院に呼吸器外科の常勤医師が在籍していない状況もあり、2019年度は年間手術症例数が過去最高となりました。
主に肺がんの患者さんの手術を行っておりますが、手術の適応につきましては呼吸器内科の医師と連携しながら決定しています。また、心大血管の合併切除が必要と考えられる患者さんに対しては、心臓血管外科と一緒に手術を行っておりますが、手術の適応は慎重に決定しています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 63 14 21 43 21 13 1 8
大腸癌 28 41 57 50 36 47 1 8
乳癌 59 38 7 4 31 15 1 8
肺癌 81 16 63 100 149 111 1 8
肝癌 13 21 7 6 17 56 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 現在、日本で最も罹患率が高い5つのがん(胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝がん)の病期(Stage)ごとの症例数を集計したものです。がんの症例数を調べることで、その病院がどの程度がんに対して積極的に治療をしているのかを知ることができます。また、病期分類別に見ることで、その病院の診療の幅広さを知ることができます。当院では、化学療法が外来で行われていることから、入院における胃がん、大腸がん、乳がんの再発治療が少なくなっています。また、肺がんではStageⅣの症例が多いことから、重症の患者さんが多いことが分かります。なお、検査入院においてがんの確定に至らない場合の場合のStageは不明となっています。
※ 病期(Stage)とは、がんの進行状態を示すものであり、0期からⅣ期の5つに分類されます。
  0期に近いほどがんが小さくとどまっている状態であり、Ⅳ期に近いほどがんが広がっている状態となります。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 27 11.44 58.11
中等症 196 18.44 77.14
重症 71 17.80 80.49
超重症 31 25.97 83.90
不明 0 0.00 0.00
 成人(20歳以上)の肺炎患者さんについて、重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。市中肺炎とは普段の生活で罹患した肺炎のことです。肺炎は罹患率が高いうえ死亡率も高く、悪性新生物、心疾患、老衰、脳血管疾患に次いで国民の死亡原因の上位に位置する疾患です。肺炎の治療には総合的な対応が求められるため、多職種によるチーム医療が必要な疾患の一つと言えます。当院では、肺炎症例が多いこともあり、市中肺炎・院内肺炎のガイドラインに準じて適正な抗菌薬を選択し、入院期間の短縮化・耐性化予防を図る一方、重症例では人工呼吸管理・栄養管理を含む全身管理を実施し、救命率の向上に努めています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 353 18.16 72.96 33.06
その他 10 26.30 75.60 0.55
 脳梗塞の患者さんについて、患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計したものです。脳血管疾患も死亡率の上位に位置する疾患であり、脳梗塞の場合、早期に治療を行うことが効果的とされています。救急で搬送された患者さんも多く、受け入れには救急体制の確保が必要となります。当院においては、救急車により搬送される患者さんの割合は58.1%であり、30日以内に再入院となる患者さんの割合は1.1%、死亡退院となる患者さんの割合は4.7%です。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 110 2.00 9.80 3.64 73.90
K654 内視鏡的消化管止血術 70 0.90 10.27 5.71 70.73
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 35 0.43 6.17 0.00 75.11
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 29 0.55 6.38 0.00 74.93
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみのもの) 29 2.52 5.07 6.90 66.76
 当院の消化器内科では、食道、胃、十二指腸、大腸などの消化管の診断と治療、肝胆膵疾患の診断と治療など多岐多彩にわたる臓器を分担しています。当院は三次救急病院であるため、緊急検査も多く実施しており、消化管疾患に対する内視鏡等は常時可能な状態とするよう努め、緊急時の迅速な対応を心掛けています。また、超音波内視鏡による粘膜下腫瘍の診断やがんの進達度診断の向上に努めており、早期の食道・胃・大腸がんに対しては、可能な限り内視鏡的切除を行っています。
 第1位にあります「内視鏡的胆道ステント留置術」とは、胆管結石性胆管炎や胆管閉塞に対して胆管ステントを留置し、結石の嵌頓を解除したり胆汁を十二指腸に排泄する手術であり、第2位「内視鏡的消化管止血術」は、上部の消化管出血に対する止血術です。このように、消化器内科における手術は主に内視鏡によるものとなります。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 192 1.23 2.36 0.00 69.45
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 104 1.31 1.48 0.00 68.84
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞) 79 0.03 13.24 5.06 67.28
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 55 1.55 2.75 0.00 61.67
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 54 2.37 6.30 0.00 74.74
 第1、4位にあります「経皮的カテーテル心筋焼灼術」は、不整脈(上室性頻脈症、心室頻脈症、心室性期外収縮、心房粗細動等)に対し、不整脈の原因となる異常な電気の通り道をカテーテルで探して高周波電流で断ち切る治療です。アブレーション時に有力な補助診断装置である3次元マッピングシステムも導入し、より的確な治療を目指しています。尾張北部医療圏においてアブレーションを積極的に行っている数少ない施設のひとつです。第2、3位にあります「経皮的冠動脈ステント留置術」はPCIと言い、細くなってしまった冠動脈にステント(冠動脈内に留置するステンレス製のメッシュ構造をしたパイプ)を留置し血流を回復させる治療です。通常、予定のPCIでは2泊3日の入院をしていただいています。薬剤が徐々に血管壁へ溶け出す薬剤溶出性ステントは、冠動脈治療後の再狭窄(治療部位が数ヵ月後にまた細くなる現象)を予防する効果があり、現在、カテーテル治療の主流となっています。従来の治療では良い成績が得られなかった糖尿病の患者さんや細い血管、長い病変、分岐部の病変などにおいて、このステントを使用することで成績が向上しています。第5位にあります「ペースメーカー移植術」は、徐脈性(脈が遅いこと)不整脈(徐脈性心房細動、房室ブロック等)に対し、心筋に電気刺激を与えることで心収縮を発生させる医療機器を植え込む治療です。
 なお、生命を脅かす急性冠症候群(急性心筋梗塞・不安定狭心症)に対しては、24時間体制で小牧市周辺を中心とした尾張北部医療圏の急性期循環器疾患治療を担っています。緊急カテーテル治療は厳重な集中管理を行うことで救命に大きな成果をあげています。
血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植の場合) - - - - -
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) - - - - -
 第1位にあります「造血幹細胞移植」とは、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の患者さんに実施する手術です。造血機能に異常をきたし正常な血液細胞をつくることができなくなった患者さんに、あらかじめ凍結保存しておいた自分自身の造血幹細胞(自家移植)、あるいは、ドナーから提供された造血幹細胞(同種移植)を移植して造血機能の正常化を図る治療法です。第2位にあります「リンパ節摘出術(長径3cm未満)」は、リンパ節の生検目的に行いますが、耳鼻いんこう科や外科に依頼して実施しています。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 44 2.50 4.98 2.27 70.02
K6072 血管結紮術(その他) - - - - -
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) - - - - -
 他科入院において実施したものや、主たる手術としてカウントされていない手術を含めますと、2019年にはシャント手術を56件、経皮的血管形成術(シャントPTA)を6件実施しています。当院では、末期腎不全の治療法として、血液透析、腹膜透析、腎移植の全ての治療に対応しています。内シャント設置術は原則として入院で行っており、これが第1位の手術となっています。腹膜透析の場合には、外科において腹膜透析カテーテル挿入術を行い、腎移植は泌尿器科で行っています。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度) 10 0.00 20.10 0.00 0.00
K9132 新生児仮死蘇生術(仮死第2度) - - - - -
K7151 腸重積症整復術(非観血的なもの) - - - - -
 当院の小児科では、新生児・小児科的疾患全般を担当しています。新生児疾患においては、尾張北部を代表とする地域周産期母子医療センターとして、新生児特定集中治療室(NICU)や新生児治療回復室(GCU)を備え、24時間365日にわたり地域の周産期医療を行っています。当院内のみならず、近隣産科開業医からハイリスクの妊婦さんを母体搬送していただき、産科と協力し地域の周産期の業務も担っていることから、新生児仮死蘇生術が第1位、第2位となっています。
小児的疾患においては、その多くが内科的治療であることから手術症例は少数となっています。このため、「鼓膜切開術」や「口蓋扁桃手術」は耳鼻いんこう科へ依頼して実施しています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 142 1.07 3.54 0.00 59.93
K6335 鼠径ヘルニア手術 116 0.99 1.12 0.00 70.24
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 77 1.01 6.82 0.00 62.96
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈,静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他に設置した場合) 40 0.03 1.38 0.00 65.40

ポート造設術(2日間)

K7193 結腸切除術(全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術) 39 5.28 17.87 0.00 74.38
 当院は、地域がん診療連携拠点病院として、がんに対する手術も積極に実施しています。主な実績は以下のとおりです。

 ・胃がんに対する手術          :胃切除術(腹腔鏡下含む) 31件、胃全摘術(腹腔鏡下含む) 12件 等
 ・大腸がんに対する手術(上記以外):直腸切除・切断術(低位前方切断術)(腹腔鏡下含む) 30件 等
 ・乳がんに対する手術          :乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない) 77件、
                         乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない) 29件、
                          乳房切除術(胸筋切除を併施しない) 28件 等

 外科では、体に負担の少ない腹腔鏡手術についても良悪性を問わず積極的に取り入れており、その対象は胆石症、鼠径ヘルニアなどの良性疾患から、技術的に難しい胃がん、大腸がんなどの悪性疾患まで多岐にわたります。2019年の新病院移転の際に手術支援ロボット(ダヴィンチ)を導入し、より精密かつ安全性の高い治療を提供しています。
 乳がんの手術では根治性を損なわずに後遺症を減らす目的でセンチネルリンパ節生検行い、切除範囲の縮小を図っています。また、乳房再建術についても適用を判断しながら形成外科と共同して行い、乳房手術によるボディー・イメージ変化の悩みに対応しています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 61 0.36 9.10 21.31 76.33

慢性硬膜下血腫

K1781 脳血管内手術(1箇所) 46 1.17 10.52 13.04 63.80
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 23 2.61 25.96 17.39 59.26
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 20 1.80 5.95 10.00 73.30
K178-4 経皮的脳血栓回収術 15 0.13 26.27 73.33 77.93
 当院の脳神経外科では、顕微鏡手術のほか、ガンマナイフを含む画像診断を用いた定位脳手術、内視鏡手術、カテーテルを使用した血管内手術、難治性疼痛に対する刺激電極挿入など、幅広く脳神経外科疾患の最先端の治療を専門的に行っています。また、名古屋大学脳神経外科教室と連携し、いつでも大学病院と同等の先端治療が提供できるよう努めております。開頭手術は、脳腫瘍や脳動脈瘤クリッピング術を中心とした血管手術を幅広く行っています。近年は術後の機能温存の観点から、術中ナビゲーションは当然のことながら、生理検査技師の協力のもと術中神経モニタリングを多くの症例で行っています。また、悪性グリオーマにおける5-アミノレブリン酸という薬剤を用いた術中蛍光診断やクリッピング術におけるICGという薬剤を用いた術中蛍光血管造影など顕微鏡に搭載された蛍光装置を使用した手術も実施しています。緊急手術、血管内手術をはじめとした急性期の治療に続き、患者さんの全身管理を行い、早期にリハビリテーションの導入を図り、早期の機能回復を目指しています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨,上腕,大腿) 170 0.73 14.22 52.35 77.98
K0821 人工関節置換術(肩,股,膝) 148 2.16 18.52 24.32 71.45

人工股関節置換術

人工膝関節置換術

K0462 骨折観血的手術(前腕,下腿,手舟状骨) 69 2.17 6.55 17.39 59.10
K0811 人工骨頭挿入術(肩,股) 66 2.92 18.47 78.79 82.56
K0463 骨折観血的手術(鎖骨,膝蓋骨,手(舟状骨を除く),足,指(手,足)その他) 58 1.34 3.47 3.45 57.09
 当院の整形外科では、上肢、下肢、脊椎と広く運動器の疾患・外傷を治療疾患としておりますが、特に外傷および関節外科領域の症例が多いのが特徴です。第1位に「骨折観血的手術(肩甲骨、上腕、大腿)」とありますが、そのうち118件が大腿部の手術です。また、第2位にあります「人工関節置換術(肩、股、膝)」とは、変形性関節症や関節リウマチに対して行う関節再建術のことです。患者さんの術後の生活の質(QOL)を考慮し、最先端の治療法を積極的に取り入れており、できる限り侵襲の少ない手術方法を選択しております。高齢者の大腿骨頸部骨折の治療では、認知症などの合併症を予防する目的で積極的な手術療法と術後の早期リハビリテーションを行っています。
 また、大腿骨頸部骨折におきましては、地域連携パスにより当院と他の病院や診療所が術後リハビリテーションを連携し、救急外傷の患者さんのためにベッドを確保するように努めています。結果として、第1、2、4位にあります「股関節大腿骨近位骨折の手術」における転院率が非常に高い状況となっています。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K877 子宮全摘術 87 1.07 6.22 0.00 48.44

婦人科開腹手術

K8881 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(開腹) 52 0.92 6.63 0.00 43.87

婦人科開腹手術

K867 子宮頸部(腟部)切除術 45 1.00 1.00 0.00 37.80

脊椎麻酔下膣式手術

K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 26 0.96 3.96 0.00 35.38

腹腔鏡手術(4日間)

K879 子宮悪性腫瘍手術 18 1.00 6.11 0.00 57.33

婦人科開腹手術

 上記の表からは除外対象となっておりますが、帝王切開術(選択帝王切開)116件、帝王切開術(緊急帝王切開)75件を実施しています。
 当院の産科部門においては、新生児特定集中治療室(NICU)新生児治療回復室(GCU)も備えており、尾張北部医療圏の周産期母子医療センターに指定されていることから、近医よりハイリスク妊娠の紹介例も多く、小児科をはじめ他科の協力のもと母児の管理を行っています。
 また、婦人科部門においては、卵巣腫瘍、子宮筋腫、性器脱などの良性腫瘍の保存療法と手術治療を行っており、悪性腫瘍に対しては、手術に加え病期に応じて化学療法や放射線治療を行っています。症例に応じて腹腔鏡手術も導入(腹腔鏡下膣式子宮全摘術、子宮鏡下子宮筋腫摘出術など)しています。
耳鼻いんこう科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 55 1.00 6.36 0.00 17.98

口蓋扁桃摘出術

K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 30 1.00 4.00 0.00 62.30

全身麻酔ESS

K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術(片葉のみ) 25 1.00 4.84 0.00 59.64

甲状腺摘出術

K368 扁桃周囲膿瘍切開術 14 0.43 4.07 0.00 41.71
K4631 甲状腺悪性腫瘍手術(切除) 14 1.00 5.29 0.00 55.21

甲状腺摘出術

 当院の耳鼻いんこう科では、地域の中核病院として耳鼻いんこう科・頭頸部外科全般の疾患を治療対象としています。特に慢性中耳炎・真珠腫の手術的治療、鼻副鼻腔炎及び鼻茸症に対する内視鏡下鼻副鼻腔手術、頭頸部腫瘍、甲状腺腫瘍の治療を重点目標としています。
 第1位にあります「口蓋扁桃手術(摘出)」は基本的には全身麻酔で行っています。患者さんの56.4%が15歳以下の小児です。第2位の「内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術)」は主に副鼻腔炎に対する手術ですが、内視鏡手術を基本として、できるだけ侵襲を少なくして入院期間を短縮するようにしています。副鼻腔炎以外では、乳頭腫を主体とする腫瘍性疾患や真菌症などがありますが、症例によっては根治手術を選択しています。内視鏡手術後は外来にてマクロライド少量投与療法を行い、定期的にX線・CTなどによりチェックし、鼻茸の再発に対しては外来手術で対応しています。
 また、頭頸部腫瘍の治療において、良性腫瘍の場合は基本的には手術的治療が第一選択となります。悪性腫瘍の場合は、化学療法・放射線治療・手術治療を組み合わせて、できるだけ機能保存を目指していますが、疾患の性質上、機能を犠牲にしなければならない場合も多くなります。まずは生命予後の確保を第一として、拡大手術が必要な症例では、形成外科・外科と共同で治療を行っています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 38 0.92 1.03 0.00 77.74

白内障手術(2泊3日)

K2422 斜視手術(後転法) - - - - -
K2424 斜視手術(斜筋手術) - - - - -
K2425 斜視手術(直筋の前後転法と斜筋手術) - - - - -
K2172 眼瞼内反症手術(皮膚切開法) - - - - -
 当院の眼科では、各病院やクリニックとの連携を大切に患者さん本位の医療を目指しています。主に白内障手術を行っており、身体や眼の状況によっては日帰り手術も行っております。外来での白内障手術は、414件実施しています
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 129 1.02 1.37 0.00 59.88
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 94 0.98 2.47 0.00 74.02
K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術 75 0.08 1.55 0.00 57.51

体外衝撃波結石破砕術

K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 36 1.03 7.06 0.00 66.75
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他のもの) 35 1.03 1.29 0.00 75.91
 当院の泌尿器科では、上部尿路結石治療として体外から衝撃波で破砕するESWL装置を1987年10月に愛知県下で最も早く導入し、1991年7月に日本で最初に腹腔鏡による腎臓摘出手術を施行、1992年に世界に先駆けて腎癌に対する腹腔鏡下根治的腎摘術を行うなど、先進的治療を積極的に取り入れているのが特徴です。近年では、腎部分切除、尿膜管遺残切除、腎盂形成術、尿管切石術、仙骨膣固定術など、今までは開腹で行っていた手術を順次腹腔鏡で行うようになり、新病院移転後の6月からは手術用ロボット(ダヴィンチ)を用いたロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術を開始しました。
 第1位にあります「経尿道的尿路結石除去術(レーザー)」は、腎結石症、腎盂結石症または尿管結石症に対し、内視鏡を用いてレーザーで結石を破砕・摘出する手術です。第2位および5位にあります「膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)」は、膀胱がんに対して内視鏡で腫瘍を切除する手術です。そのほか、第4位にあります「腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術」など、地域がん診療連携拠点病院として、がんに対する手術も積極に実施しています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K427 頬骨骨折観血的整復術 - - - - -
K227 眼窩骨折観血的手術(眼窩ブローアウト骨折手術を含む) - - - - -
K628 リンパ管吻合術 - - - - -
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) - - - - -
K0064 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径12cm以上) - - - - -
 当院の形成外科では、浸潤治療、マイクロサージャリー(顕微鏡を覗きながら特殊な器具を用いて行う手術のこと)、顔面骨骨折、乳房の形成外科、眼瞼下垂、重症熱傷に対する治療を担当しております。外来でも積極的に手術を実施しています。第3位の「リンパ管吻合術」は、他科入院中に実施したものや主たる手術としてカウントされていない手術を含めると、2019年には36症例実施しています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) 25 3.16 17.88 4.00 67.92

心臓血管外科手術

K5612ロ ステントグラフト内挿術(1以外の場合)(腹部大動脈) 20 1.15 4.50 0.00 76.35

心臓血管外科手術

K5541 弁形成術(1弁) 11 4.45 21.73 0.00 63.00

心臓血管外科手術

K5551 弁置換術(1弁) 11 6.64 23.27 9.09 72.09

心臓血管外科手術

K5607 大動脈瘤切除術(腹部大動脈(その他のもの)) - - - - -

心臓血管外科手術

 虚血性心疾患の手術は、冠動脈バイパス移植術が主体で、両側内胸動脈、胃大網動脈、橈骨動脈、大伏在静脈をグラフトとして使用しています。脳梗塞の合併を予防するため、早くから人工心肺を使用しないで冠動脈バイパス術を行うOPCAB(心拍動下冠動脈バイパス術)を導入しており、手術成績も良好です。小さな傷(手術の部位にもよりますが、5-6cm程度の傷での手術も可能)で行うMICS(低侵襲性心臓手術)という手術も導入するなど、患者さんに負担の少ない治療法を積極的に行っております。また、心臓弁膜手術において日本でいち早く僧帽弁形成術を行い、内視鏡下手術を導入するなど最先端の治療方法を行っております。弁膜症に対し、患者さんの術後の長期間に及ぶ生活の質(QOL)に特に優れております弁形成術に注力し、弁膜症センターを開設しました。術後管理には、CDC(米国国立防疫センター)のガイドラインに準拠した抗生物質の使用法、カテーテル管理法を採用し、さらに早期経胃腸栄養法、側臥位呼吸管理法を行い、合併症の予防に努めています。

※「下肢静脈瘤血管内焼灼術・K617-4(平均術前日数0.00日、平均術後日数1.00日、転院率0.00%、平均年齢65.38歳)」を13件実施していますが、科の特徴的な手術ではないため上記の表から除外しています。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 57 4.42 3.74 0.00 40.70
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 33 1.73 4.42 0.00 68.24
K5143 肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) 22 2.41 7.77 0.00 73.32
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 21 2.24 8.38 0.00 66.81
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 18 2.28 7.89 0.00 68.72
 当院の呼吸器外科では、肺がん、自然気胸、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍のほか、呼吸器全般の疾患を対象とした外科治療を行っています。上記にもありますように、主に肺がんの手術を行っており、手術の適応につきましては呼吸器内科の医師と連携しながら決定しています。スリガラス状陰影が主体となる異常影はCT下マーキング後、胸腔鏡を併用した小開胸で切除し、リンパ節転移のない小型肺がんについても胸腔鏡で肺切除とリンパ節郭清を行っています。縦隔リンパ節腫大症例は、できる限り縦隔鏡で診断し化学療法後に手術を実施しています。他臓器浸潤例は、安全に切除可能な症例は合併切除を行いますが、危険な症例はよく話し合って方針を決定しています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 2 0.02
異なる 3 0.02
180010 敗血症 同一 16 0.13
異なる 26 0.21
180035 その他の真菌感染症 同一 3 0.02
異なる 0 0.00
180040 手術・処置等の合併症 同一 54 0.43
異なる 12 0.10
 その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)とは、臨床上ゼロにはなりえないものの少しでも改善すべきものとして定義されている感染症や合併症の症例数と発生率を集計したものです。
 「入院契機と同一」とは上記の傷病名がきっかけで入院した患者さんのことであり、「入院契機と異なる」とは入院のきっかけとなった疾患は上記の傷病名ではないものの、その後に上記の傷病名を発症し、入院時の疾患より多くの医療資源(治療)を費やした患者さんのことです。また、「手術・処置等の合併症」とは、主に手術後の出血、手術後の創部感染、人工関節の脱臼やゆるみなどです。
 一般的に発生率が低いほど医療の質が良いとされていますが、患者さん自身の免疫力が低下している場合に合併して発生することが多いことから、コントロールが困難な症例とも言えます。当院は尾張北部医療圏における三次救急指定医療機関であり、重篤な疾患の合併症として発症するケースが多いといえます。
更新履歴
2021/5/1
患者用パスを追加